2026年10月02日
家族信託の信託財産を記録でつなぐ関係図

家族信託の信託財産を記録でつなぐ関係図
親の預金や不動産を家族信託で扱うとき、最初に迷いやすいのは「誰が何を管理し、誰のために使うのか」です。信託財産、受益者、受託者の関係図を契約前に整理すると、家族間の認識差を減らし、将来の手戻りを抑えやすくなります。
目次
- 信託財産に入れるものと外すもの
- 受益者と受託者の役割を線で結ぶ
- 家族信託を契約前に整える視点
1. 信託財産に入れるものと外すもの
家族信託では、すべての財産を自動的に受託者へ任せるわけではありません。契約で定めた財産だけが信託財産になります。
整理の対象になりやすいものは、主に次の財産です。
- 自宅や賃貸物件などの不動産
- 生活費に使う預金
- 修繕費や税金支払いに備える資金
一方で、日常的に本人が使う少額の現金や、信託に入れる必要性が低い財産は、別管理にする考え方もあります。意外にも、財産を多く入れれば安心とは限りません。受託者の事務負担が増え、記録管理の生産性が下がる場合があるためです。
2. 受益者と受託者の役割を線で結ぶ
関係図では、少なくとも委託者、受託者、受益者を分けて書きます。親が委託者兼受益者、子が受託者になる形は、家族信託でよく検討されます。
ここで曖昧にしやすいのが、受託者の権限です。受託者は信託財産を自分の財産として使う人ではありません。受益者のために管理し、契約の範囲で支出や処分を行う立場です。
関係図には、次の線を入れると理解しやすくなります。
- 委託者から受託者へ、管理を託す線
- 受託者から受益者へ、利益を届ける線
- 信託財産から生活費や管理費へ、支出の線
つまり、家族信託の関係図は家系図ではなく、財産の流れを示す業務図に近いものです。
3. 家族信託を契約前に整える視点
契約書を作る前に、信託財産の範囲、受益者の生活費、受託者の記録義務をそろえておくと、後日の説明がしやすくなります。特に不動産を含む場合は、固定資産税、修繕費、賃料収入の扱いを分けて考える必要があります。
戸丸和夫事務所では、家族信託を検討する際、関係者が同じ図を見ながら話すことを大切にしています。私たちは、受益者の暮らしを中心に置き、受託者が無理なく管理できる形を確認する姿勢が欠かせないと考えています。
家族信託は、契約後の運用まで続く仕組みです。信託財産を線引きし、受益者と受託者の関係図を整えることが、家族の納得感と将来の効率化につながります。